華や華*1*
- 2008/03/24(月) 14:25:54
ああ、またあの季節が廻ってきた。
晴れ渡った空に、咲く桜の白が映える。
桜はまだ散らずにいてくれたか。
カラリと開けた引き戸から、ひゅぅっと春風が舞い込む。
店の入り口の横にある、店の名の由来ともなった大きな桜の樹が枝を伸ばしている。
中から取り出した暖簾をからんとかけて、
「古物処 華屋」
開店である。
風の日も雨の日も、店の入り口の引き戸を半分ばかり開けておくのがこの店の流儀。
なぜかというと、駆け込んでくる客が多いからである。
入り口には夏に限らず年がら年中風鈴がかけてある。
それが呼び鈴がわりか、ちりん、とお客の来訪を知らせてくれる。
店を開けたといってももうすでに太陽が昇って大分経っている。ここ界隈の店ならとっくに開店をすませている時刻である。遅すぎると言ってもよい。
おまけにここの店主、これ、といった決まった時間に店を開けることがない。
あるときは霧もまだ深い早朝、あるときはお天道様が真上にかかりかけた頃と、まちまちだ。
それでまあ店が成り立っているものだというのがご近所の話だが、それはそうとして。
ちりんちりん…
やあ、早速お客がお出でなすったようだ。
ジャンル:
- 小説・文学
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